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鴻巣市における教育ICT基盤刷新による働き方改革とそれを支える百問繚乱

中山道の宿場町として発展してきた埼玉県鴻巣市は、同県のほぼ中央部に位置する人口約 12 万人の都市である。市内には小学校19校、中学校8校があり、約8,500人の児童生徒が日々学んでいる。

同市では、GIGAスクール構想が立ち上がる前から教育ICT環境整備の準備を進め、2019年9月に「鴻巣市学校教育情報化推進計画」を公表するなど、先進的に教育ICT環境を整備している。そこで今回は、鴻巣市がどのようなビジョンで環境を刷新したのか、なぜ百問繚乱が同市に選ばれたのかを紐解いていく。

 

「百問繚乱は、採点システムではなくて、採点“支援”システム。このコンセプトを聞いたときに、これこそが学校現場が求めているものだと思いました。」

このように語るのは、鴻巣市教育委員会教育総務課主任の新井亮裕氏だ。

新井氏は、「鴻巣市学校教育情報化推進計画」の策定や教育情報基盤の刷新等、教育情報化推進の業務を遂行してきた人物である。

百問繚乱を見て、まず初めに凄いと驚かされたところは、“事前設定がほとんどいらない点”と“今までのテストをそのまま使える点”です。
どういうことかというと、少なくとも自分が今まで見てきた製品は、事前設定に凄く時間がかかる。採点時間が20分短くなりますと謳っていても、事前設定に20分かかっていたらまったく負担軽減になりません。
また、専用のフォーマットを使用しないと採点システムに読み込めないといった製品も多かったです。
ところが、百問繚乱は違いました。既に先生たちが作った答案用紙をそのままスキャンするだけで、採点支援システム側に読み込めるのです。設定作業もほとんどありません。
先生の採点を支援するのが目的なのだから、システム使うことで手間が増えてしまったら意味が無い”というコンセプトを持っている製品だと伝わり、魅力を感じました。」

 

従来の模範解答がそのまま使え、直感的に操作できる設定画面。

 

●ICT基盤刷新の概要と採点支援システム

鴻巣市では、GIGAスクール構想が立ち上がる前から教育ICT環境整備の準備を進め、2019年9月に「鴻巣市学校教育情報化推進計画」を策定した。本推進計画では、「ICT機器の活用により、新しい時代で活躍するために必要な資質・能力を育成する」ことを基本理念に、子どもたちがICT機器を文房具のように日常的に使える姿を目指している。そして、その姿を実現するために、GIGAスクール構想と鴻巣市独自の取り組みを上手く組み合わせ、教育ICT基盤の全面刷新を行った。「ICT基盤フルクラウド化」「個別最適及び協働的な学びの実現」「働き方改革の観点からの業務改善」等を、“一体的に整備した”ことが鴻巣市の取組のポイントである。

 

 

「“先生も子どももPCを文房具のようにいつでもどこでも使用できる”というコンセプトの下、教育ICT基盤のフルクラウド化を実施しました。抜本的に働き方改革をしなければいけないという大前提はありますが、先生たちのワーク・ライフ・バランスの向上を目指し、テレワーク環境も整備しています。しかし、検討の段階で1つ課題となっていたのが、定期テストの採点です。現状、定期テストは紙で行われており、採点するには紙の答案用紙が必要です。そうなると、家で採点ができなくなってしまうということになってしまいます。そこで、採点支援システムのメリットがもう一つ見えてきました。紙の原本がなくても、採点ができるようになるのです。つまり、学校にいるときに答案用紙をスキャンしてしまえば、自宅からでもシステムをとおして採点することが可能となります。」

そこで、鴻巣市では、IaaS上に採点支援システムを構築し、セキュリティを担保した状態で、採点支援システムも使用できるような構成で整備をしたのである。

 

●採点支援システム導入後の学校現場

「百問繚乱を使用するようになったら、今まで3~4日かかっていた採点業務が、テスト実施日中に完了出来るようになりました。事前設定ほとんどいらないので、定期テストだけでなく、小テストでも百問繚乱を使っています。」

このように話すのは、鴻巣市立鴻巣南中学校の関口先生だ。同中学校では、採点支援システムが導入された1週間後の定期テストから早速活用を開始したのだという。

「採点完了時に点数計算も終わっているので、点数表を入力する作業が無くなったこと、点数が電子データとなっているので余計な転記作業がなくなったことも非常に助かっています。また、記述問題では、今までは基準のブレや採点し直しが多かったのですが、設問単位に一覧で採点出来る点もとても助かっています。選択肢の自動採点機能もあり、精神的にも楽になりました。」

選択肢(数字・カタカナ・アルファベット)が自動採点可能

 

更に、百問繚乱の個票機能も非常に好評だという。

「個票機能により、生徒の苦手内容などを把握出来るようになった為、事後指導時の声がけをよく出来るようになりました。また、返却後の答案の書き換えが一切出来なくなることは、お互いの信頼関係の意味でも効果があります。分析機能も充実しており、クロス集計では自分が担当していない教科の成績との相関が見られるので新しい視点での分析が出来て良いです。設問別の成績も採点後にすぐ閲覧が出来るので、事後指導に向けた労力が無くなりました。また、採点画面で解答が一覧で見られるので、記述問題の指導などで実際の解答例を使って、何故不正解となるのかの説明ができるようになったのも大きいです。」

成績個票で詳細な成績を返却可能

 

更に、鴻巣市教育委員会の新井氏もこのように話す。

「とても驚いたのが、採点支援システムの導入研修1週間後の定期テストから市内の多数の中学校で活用が始まったことです。新しいシステムを導入するとどうしても、最初は負荷が高いため、慣れていくにしたがって、徐々に活用率が上がっていくということがよくあるのですが、百問繚乱は最初から高い活用率でした。この結果は、それだけ負担軽減の効果があり、先生の負荷なく採点を支援してくれるシステムだということを示しているのだと思います。

また、Teams連携についても魅力的です。採点支援システムからteamsをとおして、生徒へ答案と個票を返却する機能です。これにより子ども自身が学びの蓄積しやすくなるなどの効果も期待できます。

『Microsoft Teams』で児童成績返却

 

テレワーク時での採点支援システムの活用状況については、こうだ。

「これはうれしい誤算だったのですが、結果的にはテレワークで採点支援システムを使用している先生はあまりいないようです。理由は簡単で、テスト当日に採点が終わってしまうようになったからです(笑)。」

 

 

●百問繚乱に期待すること

最後に百問繚乱に期待することについて、新井氏は次のように語る。

「子どもたちのためになる教育データの活用を期待しております。採点支援システムで得られるデータは、子どもの学びの質向上のために非常に重要なデータです。これを上手く活用し、様々なデータと連携し分析をすることで、子どもたち個々の実情に応じた示唆を得られるなどです。シンプルエデュケーション様は、個票の開発やteams連携などの機能追加等、現場のニーズを聞き、効果的であると判断したらすぐに実装できるという知見と技術力が非常に高い会社ですので、どんどん素晴らしい機能が追加されると信じています。」